対話と自学を通して思考を鍛える

英検ライティング対策を題材に、対話型・自学型指導のイメージをつくってみました。生徒は、主に英会話で英語を学んできた小6の子で、今度英検3級の受験を控えています。以下のイメージは、実際の生徒指導をもとにした架空の会話です。

Which do you like better, hot weather or cold weather?(英検3級 2021年度 第2回)

小6生徒

こんなふうに書いてみました。英会話教室でも話したことあるお題だったので、自信あります。

I like hot weather. Because I can go out and enjoy flowers. …

藤本

おーいいですね!よし、ちょっと直していこう。まず、最初のBecause

小6生徒

え!ここ違うんですか?英会話教室でもよくこんなふうに使ってるような…

藤本

うん、このbecauseってどんな意味だと思ってる?

小6生徒

「なぜなら」ですよね?

藤本

その日本語、落とし穴だよ!意味は間違ってないんだけど、それだと使い方を間違えちゃうことがあるんだ。ちょっと、becauseを使っていない英文で考えてみようか。

I lived in Okayama when I was young.

小6生徒

「私が若かったとき、私は岡山に住んでいました」かな?

藤本

そうだね!これをね、こんなふうに区切って書いたらどう思う?

I lived in Okayama. When I was young.(×)

小6生徒

ん、なんか気持ち悪いです。前の文と後の文がぶつぎりになっててつながってない…

藤本

その通り!このチョン(.)ってマークは「ピリオド」って言って、日本語の「マル(。)」とおなじだね。

小6生徒

それは知ってます。でもbecauseと関係ありますか?

藤本

大いにあるよ。ちょっとwhenに着目してみよう。さっきの文、こんなふうにしてみたらどうだろう。

When I was young, I lived in New York.

小6生徒

「私が若いとき…」あ、さっきとおなじ意味です。

藤本

だよね。さっきと順番がいれかわってるのにおなじ…

小6生徒

あ、なんかわかってきた気がする。これもこんなふうに書きかえることはできないですよね?

When I was young. I lived in New York.(×)

藤本

そう!

小6生徒

もしかして、becauseもwhenとおなじで、becauseの後ろの文をどこかもうひとつの文につなげるってことか。

藤本

よく気づいたね!ってことはどう直す?

小6生徒

んー…マル(.)をテン(,)に変える?

藤本

そうそう、このテンは「カンマ」って言ったりするよ。becauseの意味は「なぜなら」でいいかな?

小6生徒

んーどうだろう?

藤本

後ろの文+だから」っていうふうに、後ろの文もかかわるように覚えるのはどうだろう?

小6生徒

あーなるほどです。確かに「なぜなら」だと使い方を間違えちゃうかも。でも、記号だけでバツになっちゃうなんて、なんかきびしいなあ。

藤本

まあそうも思えるかもね(笑)でも、英会話教室で話すときには意識しないかもしれないけど、実は書くときには文と文を区切ったりつなげたりするとか、書き方のルールがあるんだよ。becauseっていうたった1語だけど、意味だけじゃなくてしっかり使い方も守ってあげようね。ほら、この参考書のこのページにいまやったことが書いてあるから、ちょっと読んでみて、ここの例文をノートに和訳しながら暗記してごらん。20分後にテストしにきます。

小6生徒

うわ!漢字が多い!じゅ、従属接続詞…?英語はむずかしいなあ。でも、今まで意識してなかったことがピンときた気がする。頑張るぞ!

例えば上記の英文も、Becauseに赤を引いて「〜, because…に直そう」とだけ伝える添削もできたと思います。しかし、それは果たして本当の理解につながる指導でしょうか?講師は生徒ひとりひとりのバックグラウンドや思考癖を想像・察知して、もっとも効果的・効率的な方法を導きます。対話と自学を通して思考を鍛え、自らの力で理解に到達し、学ぶ喜びまで知ってもらいたいという願いがあります。