【英検】準1級合格者の「英作文」の対策方法

こちらの記事の続きです。

前回までで、英検準1級の実態と精読の重要性について書いてきました。今回は合格者の英作文の対策方法についてまとめていきます。

求められる力

準1級だからといって、難しいものが求められているわけではないと私は生徒たちに伝えています。お題に対して、日本語にしたら説得力のある内容が書けていれば良いだけですから、特別視する必要はありません。

英検の公式サイトによると、求められている観点は4つあります。

観点1:内容

課題で求められている内容(意見とそれに沿った理由)が含まれているかどうか

自分の意見と合わせて、その理由を明確にしましょう。その際に、多様な観点から考えて、意見を支える論拠や説明がより説得力のあるものになるようにしましょう。例えば、理由を書く際に、単純に「安いから」や「便利だから」だけでなく、安くなることがどういうことにつながるのか、また便利になることの具体的な例なども書きましょう。

観点2:構成

英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか

伝えたい情報の流れや展開を示す表現(接続詞など)を効果的に使って、自分の意見とその理由や英文全体の構成をより分かりやすくするようにしましょう。

観点3:語彙

課題に相応しい語彙を正しく使えているか

同じ語彙や表現の繰り返しにならないように、文脈に合わせて多様な語彙や表現を適切に使用して、自分の意見とその理由を十分伝えられるようにしましょう。

観点4:文法

文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか

同じような形の文の繰り返しにならないように、多様な文のパターンを適切に使用して、自分の意見とその理由をより効果的に伝えられるようにしましょう。

こちらより引用

この中で特につまずきやすいのが2つ、内容語彙だと考えています。これまで何千本と添削をしてきて、よく生徒があたる壁について書いてみます。

イメージできる書きやすい「内容」に

例題、こんなお題が出されたらどのような解答をしますか。一緒に考えてみましょう。日本語で構いません。

「映画やテレビ番組は若者の行動に対して、良い影響よりも悪い影響の方が大きい」

と書かれており、まずはこれについて賛成か反対かの立場を決めましょう。そして「価格」「社会」「エンタメ」「文化」の観点から書きやすいものを選択して論じます。

書きやすさは「イメージできるかどうか」で決まります。自分の本音ではなく、書きやすいものを選択することが大事なので、こだわりすぎないのがコツです。では実際に解答を考えてみましょう。

賛成の場合(例)

Cost

  • Movies and TV programs often portray a glamorous lifestyle, encouraging young people to overspend to imitate what they see on screen.
    (映画やテレビ番組はしばしば華やかなライフスタイルを描き、若者が画面で見たものを真似しようとして過剰にお金を使うようになる。)

Society

  • They sometimes glorify violence or illegal activities, leading to an increase in risky behavior among young people.
    (暴力や違法行為を美化することがあり、それが若者の危険な行動を増加させる原因になる。)

Culture

  • Overexposure to foreign media might lead to a loss of interest in their own cultural traditions.
    (外国のメディアに過度に触れることで、自国の文化的伝統への関心が失われる可能性がある。)

反対の場合(例)

Entertainment

  • Movies and TV programs provide a source of entertainment and stress relief, helping young people relax and enjoy life.
    (映画やテレビ番組は娯楽やストレス解消の手段を提供し、若者がリラックスして人生を楽しむ助けになる。)

Society

  • Many programs promote positive social messages, such as teamwork, kindness, and problem-solving skills.
    (多くの番組は、チームワークや親切心、問題解決能力などのポジティブな社会的メッセージを促進している。)

Culture

  • Exposure to diverse cultures through movies and TV programs can broaden young people’s horizons and foster cultural understanding.
    (映画やテレビ番組を通じて多様な文化に触れることで、若者の視野が広がり、文化的理解が深まる。)

もし私なら、賛成(悪影響がある)という立場で書きます。上記の解答例からも分かる通り、このお題については賛成の方がやや書きやすいようになっており、私も筆が進みました。では、賛成に絞って、より具体的な深堀りした内容を書いてみます。

Cost

  • Movies and TV programs often portray a glamorous lifestyle, featuring expensive cars, luxurious mansions, and designer clothes. Young people may feel pressured to buy expensive items they cannot afford, like branded clothes or the latest gadgets, to emulate the characters they admire. For example, popular shows like Gossip Girl highlight extravagant spending, influencing teens to value materialism.
    (映画やテレビ番組はしばしば、高級車や豪華な邸宅、ブランド服などの華やかなライフスタイルを描きます。若者は憧れるキャラクターを真似しようとして、買えない高価な物、例えばブランド服や最新ガジェットを購入しなければならないと感じることがあります。例えば、『ゴシップガール』のような人気番組は、過剰な消費を強調し、若者に物質主義を重視させる影響を与えています。)

Society

  • Some movies and TV programs glorify violence or risky behaviors, like drug use or illegal activities. For instance, shows such as Breaking Bad or movies featuring gang culture can inspire young viewers to see such actions as exciting or justified. This could lead to an increase in youth engaging in similar behaviors or having a more lenient attitude towards them.
    (一部の映画やテレビ番組は、ドラッグの使用や違法行為のようなリスクのある行動を美化します。例えば、『ブレイキング・バッド』やギャング文化を描いた映画は、若い視聴者にこれらの行動を刺激的で正当化されるものとして見せる可能性があります。これにより、若者が同様の行動を取ったり、それに対して寛容な態度を取るようになるかもしれません。)

Culture

  • Overexposure to foreign media, especially Hollywood productions, often focuses on Western cultural norms and lifestyles, which can overshadow traditional values of the viewer’s own country. For example, in Japan, younger audiences may prioritize Western holidays like Christmas or Halloween over traditional events such as Obon or New Year celebrations after being influenced by foreign TV shows.
    (特にハリウッド作品などの海外メディアに過剰に触れることで、視聴者自身の国の伝統的価値観が軽視されることがあります。例えば、日本では、若い視聴者が外国のテレビ番組の影響でクリスマスやハロウィンのような西洋の祝日を優先し、盆や正月などの伝統行事を疎かにすることがあります。)

重要なのは「具体的にイメージができるかどうか」です。テレビが若者に悪影響を及ぼすのであれば、何がどのような行動に繋がるのか、思い浮かべなくてはいけません。今回の例では

・消費行動

・違法行為

・伝統軽視

について深堀りして記述しています。

まずは簡単な語彙でいいから、ミスなく書き切る

ここまでの文を読んで「こんな文章書けない…」と思った人もいるかもしれません。英検の公式問題集にある模範解答は文字通り「模範」ですから、あそこまでのレベルを書けなくても大丈夫です。まずは、自分の扱える語彙で書き切ることが大切です。

今回、上記おなじ内容について、語彙のレベルを下げたものを記述してみます。このくらいのもので良いので、すらすら書けるように練習してみましょう!

Cost

  • Movies and TV programs show a rich and cool life. For example, characters often drive expensive cars, live in big houses, or wear expensive clothes. Many young people want to copy this, so they try to buy things they cannot afford, like brand-name clothes or new smartphones. A show like Gossip Girl makes young people think having expensive things is very important.
    (映画やテレビ番組はお金持ちでかっこいい生活を見せます。たとえば、登場人物が高い車に乗ったり、大きな家に住んだり、高い服を着たりします。多くの若い人はそれを真似したいと思い、ブランドの服や新しいスマートフォンなど、お金が足りないものを買おうとします。『ゴシップガール』のような番組は、高価なものを持つことがとても大切だと思わせます。)

Society

  • Some movies and TV programs show bad actions like fighting, using drugs, or stealing as if they are cool or fun. For example, shows like Breaking Bad or movies about gangs can make young people think these actions are okay or exciting. This can cause them to do bad things or think these actions are not so serious.
    (映画やテレビ番組の中には、喧嘩をしたり、薬物を使ったり、盗んだりすることをかっこいいことや楽しいことのように見せるものもあります。たとえば、『ブレイキング・バッド』やギャングを描いた映画などです。これにより、若い人がこうした行動をしてもいい、または面白いと思うようになるかもしれません。そして、悪いことをしたり、それがそんなに悪くないと思ったりする原因になります。)

Culture

  • Many foreign movies and TV programs show only their culture, like American or European lifestyles. Because of this, young people may lose interest in their own country’s traditions. For example, in Japan, some young people like Western holidays like Christmas and Halloween more than Japanese events like Obon or New Year after watching foreign shows.
    (多くの外国の映画やテレビ番組は、アメリカやヨーロッパの文化だけを見せます。このため、若い人たちは自分の国の伝統に興味を失うかもしれません。たとえば、日本では、外国の番組を見た後、クリスマスやハロウィンのような西洋の祝日が、日本の行事であるお盆やお正月より好きになる若者がいます。)

いかがでしょうか?

このくらいであれば、書けそうじゃないですか?

本当であれば分詞構文や接続しを使って譲歩の文章を挿入したり、より説得力のある構成も意識したいと思うでしょうが、それは高次の添削ですから、まずはこのレベルをスラスラ書けるようにするところを目指してください。何事もスモールステップです。

まとめ

準1級の英作文といえど、難しく考えすぎる必要はありません。まずは聞かれたことに対して、具体的に答える。その際、なるべく簡単な語彙でミスを減らしながら書くようにする。これを意識するだけで「減点」が減ります。英作文は減点法で採点されますから、「お題からズレている」「内容が根拠になっていない」などのクリティカルなミスをしなければ大幅な減点はありません。

そのあたりの細かな添削や個別のアドバイスは、無料体験にて実施いたしますのでお気軽のお問い合わせください!