はじめまして、吉田塾で数学・理科の指導を担当する関根です。
最近の生徒さんを見ていると、「学校の宿題で、新単元の予習をしています」という人が増えたように思います。コロナ休校の分の遅れを取り戻すためでしょうか。いきなり「自分で勉強してください」と言われてもどうすればいいのかわからない…そんな人向けに、今日は問題集の使い方について考えていこうと思います。もうすぐ春休みということで、役に立てば幸いです。
さて、みなさんの普段の問題集の使い方を思い出してみてください。自習でも、学校の宿題としてでも構いません。たとえばこんな使い方、していませんか?
- 答えを見たら間違っていたので消しゴムで消して正しい答えを書いた。
- 全く分からないので正しい解答文を写した。写したけど理解はしていない…。
- 丸付けをしないでとりあえず宿題なので全部に手をつけてみた。
- 問題集は一周したらOK
これらはいい使い方ではありません。
なぜなら、問題集は解くことに意味があるのではなく、直し→反復にこそ意味があるからです。
そもそも「直し」とは?
「間違い直しまでが宿題です!」
よく聞く言葉です。でも、直しって何なんでしょうか?私なりの定義はこうです。
その問題を解くために、自分に足りなかった知識・自分が知らなかった手法を分析理解し、正しい答えを最適な手順で導けるようにすること。
つまり、その問題を忘れてしまってから見直したときに解法を思い出せるオリジナル教材をつくることです。オリジナル教材というと大それた言い方ですが、要はノートをつくろうということです。
直し→反復が必要な理由
授業では理解したはずなのに思い出せない…
テストで一度は経験したことがあるのではないでしょうか。なんで記憶力がこんなにも悪いんだろう…と自己嫌悪に陥る前に、次のグラフをみてみましょう
出典: https://ryugaku-kuchikomi.com/blog/ebbinghaus-the-forgetting-curve/
これはヘルマン・エビングハウスの発表した「エビングハウスの忘却曲線」です。このグラフは、時間の経過に伴ってどれだけ記憶が残っているかを示しています。このデータからわかる通り、時間が経過すると覚えたことを忘れてしまうのは当然なことです。(もちろん覚える内容によって保持率は変わってきますが。)
また、適切なタイミングで反復学習することで、忘却の速度を落とせるということもわかっています。
つまり、忘れてしまった時に見返せるノートをつくり、それを使って反復学習することで効率的に記憶の定着を図れるのです。
「直し」のやり方
ノートは自分の問題を解いた履歴であり、自分専用の“間違い辞書”でもあります。自分が間違えた当時の記録をしっかり残しておけば、思い出す速度が上がり、問題集を進めるスピードもあがっていきます。すべては自分のためですね!
- 正しい答えは赤で書く
- 自分の解答の「間違っている箇所・矛盾している箇所」をピンポイントで赤で直す(消しゴムで消さない)
- 知らなかった公式・知識・手法は近くにまとめておく
- 間違えた理由を書く(例: 計算ミス、式変形を思いつかなかった、定理・公式を忘れていた、条件と矛盾していた、等)
「次は絶対間違えない!」「また計算ミス…」等、書いている生徒さんもいました。過去の自分と会話をしている気分になれそうですね。笑
問題集の進め方
正しい直し方を習得したらあとは反復するのみです。
ここからは問題集を徹底的にマスターしたい人向けに問題集の進め方を提案します。受験生や定期テストで9割以上とりたい人は必見です。
それ以外の方はできるところから少しずつでいいので真似してみてください。
一周目
まず何も見ないで解く。最低10分は手を動かし続けよう。
◎…解けた!解法も答えと同じだった。
○…解けたが時間がかかった、もっといい解法があった→10日後にもう1度解く
△…途中までやってわからなくなった。→解答を読んでみる。ただし最後まで読まない。わからなかった箇所を読んだらまた答えを隠して解いてみる。
×…全くわからない→解答を2,3行だけ読んでみる。続きからまた考える。
最後まで解けなかった問題も、答えをみて理解する→隠して解く を繰り返して、最後まで理解&自力で解ける状態にしてから次の問題に進みましょう。わからないものは、塾の公式ラインで聞くもよし、学校の先生や友達に聞くもよし、必ず解決しましょう!
二周目
一周目の出来によって解く間隔をずらします。
◎→もう解かなくてOK
〇→10日後にもう1回解く
△→5~7日後にもう1回解く
×→2,3日後にもう1回解く
三周目以降
全て◎になるまで繰り返し解く。
ここまでやれば確実に定着します。
特に受験生は入試で1問も逃したくない状況です。スケジュール帳などにきっちりやった日付・やる日付を書き込んで、全てを◎レベルに持っていけるようにするとよいですね。
ちなみに私が受験生の頃は青チャートや過去問の約1000問の問題をこの方法で管理して、「ランダムで開いて瞬時に解法を思い出すゲーム」をやっていました。
終わりに
徹底的に物事を極めることは、受験や定期試験対策だけではなく、日常のあらゆる問題に対応する能力を高めます。できそうな範囲からで構わないので、是非みなさんもこの方法で問題集に取り組んでみてください。