高3、浪人生用の体験授業の素材

高3生、浪人生が体験授業に来た時にはだいたい2016年のセンター試験(本試験)第2問Aを解いてもらいます。この年はなかなかの良問ぞろいで、特に1、2、3、5ができるかどうかを見ています。もちろんただあっているかどうかだけではなくてどのように考えて答えを出しているかをじっくりと見ます。
ちなみに設問はこのようになっています。

1. The train ( ) when I reached the platform, so I didn’t have to wait in the cold.
① had already arricved ② has already arrived
③ previously arrived ④ previously arrives

2. ( ) Tokyo has a relatively small land area, it has a huge population.
① Although ② But ③ Despite ④ However

3. Children ( ) by bilingual parents may naturally learn two languages.
① bringing up ② brought up ③ have brought up ④ were brought up

5. Before the movie begines, please ( ) your mobile phone is switched off.
①keep ② make sure ③ fail ④ remind

1. この問題は時制の問題です。正解は①の過去完了形ですが、正解だった生徒にも必ず「なぜ過去完了形を選んだのか?」を聞きます。あいまいな答えが返ってきた場合は時間軸(=時間の流れ)を板書して過去完了形の表す時間をイメージでつかんでもらいます。
【時間軸】 → → 過去① → 過去② → 現在 → →
過去完了形を使う要件は「過去のある時点よりも前のことを表すとき」です。本問の場合には過去②の時点で「私はプラットフォームに着いた」ので、その時にすでに「電車はすでに到着していた」から「私は寒い中末必要はなかった」わけです。

2. この問題はなんとなく文の意味が「東京は狭いけど人がたくさんいる」という意味だというのはほとんどの生徒が分かるのですが選択肢がどれも似たような意味なので正解が選べない、ということが起こります。さて、この問題を解くときに考えなければならないのは実は品詞です。この選択肢の4つの語はそれぞれ品詞が異なりそれが解答の決め手になります。

① although 従属接続詞
② but 等位接続詞
③ despite 前置詞
④ however 副詞

そしてこれらの品詞はそれぞれ文中での使われ方やその位置が異なります。
① (従属接続詞)S1 V1…, S2 V2…. ./ S2 V2….,(従属接続詞)S1 V1…. .
② S1 V1….. , (等位接続詞)S2 V2….. .
③(前置詞)名詞(句), S V…. .
④ S V…. .(副詞)S V…. .
で、本問の場合は①のパターンになっているので、正解は①のAlthoghとなります。

3. 本問は(  )の後方に “by bilingual parents”とあるので多くの人が受動態である④を選びます。ところが④を入れるとこの英文には大きな問題が生じます。どんな問題があるか実際に問題文に選択肢④を入れてみます。
Children ( were brought up ) by bilingual parents may naturally learn two languages.
和訳してみます。「子供たちはバイリンガルの親に育てられた自然に2つの言葉を学ぶかもしれません」
なんか変ですね(笑)この文は一「一度れたのに育てられた」で一度文が終わっているのにそのまま「学ぶかもしれません」と動詞部(=述語)がつながっていく点がおかしいのです。別の言い方をすれば “may learn”の主語がないのです。しかし、(  )以外は英文は正しいはずですから(  )内を訂正します。(  )内が動詞だとまずいので、これを動詞になれない形つまり①brinnging upか② brought upにすればよいのです。あとは「バイリンガルの親に育てられた子供達」と受動の意味になるように②のbrought upを選びます。

5. (  )の中には動詞が入ることが選択肢からわかるので、各動詞の語法を考え行きます。「動詞の語法」とは、ある動詞がその後にどのような形をとるかを示すルールです。本問では(  )の後に “your mobile phone is…”と節が続いているので目的語にthat節を取れる動詞を探します。以下それぞれの語の代表的な語法を確認していきます。

① keep O = Oを保つ/ keep O C = OをCの状態に保つ
② make sure (that) S V… = 確実にSがVするようにする
③ fail in doing = ~するのに失敗する/ fail to do = ~しそこなう
④ remind O1 of O2 = O1にO2を思い出させる/ remindO that S V = OにSがVすることを思い出させる/ remind O to do = Oに~することを思い出させる

とすると本問の正解は ② make sureということになります。

さていかがだったでしょうか?これらの問題を解いてもらうことによってその生徒がこれまで品詞、文型、動詞の語法などに注意して英文法を学んできたか否かが分かります。そしてこれらの事項をこれまでの英語学習で意識してきたかどうかがその生徒の現在の英語力に大きな影響を与えているわけです。